英語発音強勢ルールといって、発音する際強く読む所がありますよね。
学校のテストで「次の単語のアクセントはどこですか?」などで学んだ記憶があると思います。
日本語では強く読む所をアクセントと読んでいますが、英語ではストレスとも呼ばれています。
英語のリズムを作り出す上で重要な要素の一つこの英語の”ストレス(強勢・アクセント)のルール”についてお伝えしていきます。
英語のリズムがどうやって出来ているのかを知ると、捉えやすくなりますよ。
英語リズムを作るストレス・アクセントについて
言葉にはそれぞれ独特のリズムがあります。
あるとき関西出身の友人から数字の、いち、に、さん、し~の数え方を聞いたとき歌のような独特のリズムがあることを知りました。
教えてもらって何度か同じように言ってみたのですが、毎回「音が違う」とダメだし。
リズムを捉えるのって、慣れていないと非常に難しいですね。
このエピソードのように、日本語の中でも地域によって言葉の意味が必ずしも同じではなく、リズムも違いますよね。
英語も同じで、英語ならではの音の特徴があります。
英語のリズムは、日本語にはない独特なもの。
例えば、下の文章を英語なまりで言ってみてください。
”私はアメリカ人です。”
わたーしは、あめーりかじんでーす。
赤字の所が強く長くなる。こんな感じになりませんか?
これが英語ネィティブの人が心地よいと感じるリズムです。
日本語は標準語の場合、すごくフラットですよね。
私はアメリカ人です。
そこには抑揚はありません。
日本のように島国でほぼ同じ価値観や文化を持った私たちは相手が言わなくても察することである程度理解する、ハイコンテキストなコミュニケーションスタイル。
英語のコミュニケーションスタイルは逆のローコンテキスト。
つまり、人種のるつぼと言われるアメリカなど多様性のある文化の中でのコミュニケーションは、言葉でしか伝える手段がありません。
なので、話手が相手を理解させなくてはならず、なるべくわかりやすく論理的に伝えようとします。
そこで大事なところ、相手に聞き取ってもらいたい所は強調
どうでも良いところや、文法の構成上必要なだけで意味を成さない箇所はほとんど省略
こういったメリハリをつけています。
だから日本語のようにフラットに読んでも、メリハリのリズムに慣れているネィティブの人達はわかりづらい。
同じように、フラットな音に慣れている私たちはメリハリのリズムに慣れていないので聞きづらいし、一本調子でつい話しがち。
日本人同士が話す英語は聞き取りやすいのは、このリズムも関係しているのだと思います。
そういうわけで、日本語と英語のリズムの違いを理解して、どこを強く発音するのか?メリハリの付け方を実践出来るようになることがとっても大切です。
そうすると音が聞き取りやすくなりますし、話す際相手に伝わりやすくなります。
Accent(アクセント)とStress(ストレス)
英語の単語を発音するとき、その中で必ず強く言うところがありますよね。
例えば
Apple
Banana
Edamame
アメリカでも日本食をよく食べている人達の間では日本語と同じ”えだまめ”と呼ばれていますが、日本語のリズムではなくそこは英語のリズムで赤字の”ま”の部分を強く読みます。
日本では”英語のアクセント”と聞くと強く強調する所をさしますが、英語ではそれを”Stress(ストレス)”という言葉で表されているのをよく見かけます。
逆にAccent(アクセント)は、方言といった使い方をされているように感じます。例えばBritish accent(イギリス英語)のような感じで。
ですので、英語のスタンダードに合わせてここでは、強く読む所を”ストレス”と呼ぶことにしますね。
この”ストレス”は単語の中と文章の中の2種類。次にそれぞれの特徴をもう少し詳しくお伝えします。
単語の中のストレス
単語の中では、どこか一カ所シラブルという音の最小単元の中の母音に必ずストレスが置かれています。
1 syllable ⇒apple
2 syllable⇒doc/tor
3 syllables⇒Ba/na/na
シラブルについては以下のページで詳しくご説明しています。
https://eigohatsuon.ca-lab.link/blog/syllable/
そして、そのストレスがおかれている母音が入っているシラブルは他の所と違うということをメリハリつけて際立たせるために下のようなルールを用いています。
英語の単語の中には必ず強い所と弱い所があり、ストレスをおく(強い)ところは”長く(Longer)・強く(Louder)・高い音(Higher in pitch)”になる。
例えば、上でご紹介した”edamame”。音の最小単元のシラブルに別けると以下の様になります。
日本語は”え・だ・ま・め”と音の長さもそれぞれ全て同じで強さと長さで発音しますよね。(英語では、これをsyllable-timed languageと呼びます。が別に覚えなくて構いません。)
ところが英語では”ま”のところにストレスがあり、そこだけ強く、長く、高い音になり、他のえ・だ・めと差をつけます。そうして音を際立たせることによって、その単語を理解します。(英語では、これをstress-timed languageと呼びます。)
例えば”beautiful”(美しい)と言う単語があります。
この単語はシラブルに別けストレスが置かれているところを確認するといちばん最初のシラブルに置かれています。
beau / ti / ful
音の長さ 長 短 短
音の強さ 強 弱 弱
なので、読み方としてはいちばん最初の赤字のシラブル”beau”を強く、長く、高い音で発音します。他のシラブルは強いところに比べると弱く、短く、低い音です。
今後は単語を発音するとき、ストレスが置かれている強いところ弱いところを意識してみてください。それだけでも、伝わりやすい英語になりますし相手に与える印象が全然違ってきます。
もう一つ重要な事は、ストレスのある母音は必ずその母音をしっかり明確に発音することです。それ以外の母音は言いやすいようにShcwa(シュワ)の音に近づいて変化していきます。
https://eigohatsuon.ca-lab.link/blog/schwa/
ですので、英語の母音を明確に発音できることは英語のリズムをマスターするためにも必須なのです。
余談ですが、私が教えている発音法では、マスターする母音は全部で11個。8つの口の形と舌の位置をマスターすることでネィティブの音が出せることができます。
母音時計(Vowel Clock)と言う物を使って、11個の音の出し方を学びます。
これを使うと、ストレスのある部分の母音がどれにあてはまるのかわかるので自分で単語を見て発音ができるようになりますし、間違いも見つけやすくなります。
中学から英語を習ってきて自分の話す英語がなかなか通じないと思うときがありました。その理由は口の形、舌のポジションに原因があると知ることができました。実際に口に出してみて母音時計と照らし合わせると間違いが一目でわかり驚きました。ただ今までの間違いの積み重ねが一度にわかるので直すのは大変でした。将来の商売道具だからきちんと身につけようという思いでがんばってきました。
文章の中のストレス
文章の中のストレスのルールについてお伝えしていきます。
重要な情報などは強く読み、文章を構成するためのサブ的な役割をするものは弱く、短く読む。
強く読む所はContent Words(内容語)と呼ばれ意味をなす言葉です。
Content Words(内容語) の例
Verbs(動詞):play/sing/ goなど
Nouns(名詞) :table, pen, trainなど
Adjectives(形容詞):beautiful, cold, bigなど
Adverb(副詞):suddenly, loudly, quicklyなど
Wh questions words :What, When, Who, Howなど
Negatives(否定形):no, don’t, can’tなど
逆に弱く読む所はStructure Words(機能語)と呼ばれて、文章を組み立てる際に必要なものです。日本語で言う”です”とか私はの”は”とかそういったものでしょうか。
Structure Words(機能語)の例
Prepositions(前置詞):on, at, in
Pronouns(代名詞):it, she, he, they
Articles(冠詞):a, an, the
Modals(法助助詞):can, may, shall, will, could,might, should, wouldなど
Auxiliary verbs(助動詞):be, do, have
Content Words(内容語)は強く読み、Structure Words(機能語)は弱く読むと言うことを違う言葉でお伝えすると、文章の中でのContent Wordsはすべて同じ音の長さになり、それ以外はどんどん短縮されていきます。
そのことを説明するのによく例に出されるのが以下の文章です。
Cats chase mice.
The cats chase the mice.
The cats are chasing the mice.
実は三つとも音の長さは同じです。
①Cats chase mice.
三つの単語それぞれ文法の品詞に別けると
Cats⇒名詞
chase⇒動詞
mice⇒名詞
三つとも文章の中では、内容語(Content Words)に属します。そうするとこの三つは同じ音のスペース(タイミング)を保ちます。
次に、The cats chase the mice.を見てみましょう。
②The cats chase the mice.
Theは冠詞(articles)で機能語(Functions Words)で内容語と同じスペース(タイミング)を保つことなくどんどん短縮されていきます。そして、この文章と①の文章を比べると、文字数はこちらの方が多いので一見こちらの方が音が長くなりそうですが、①と同じタイミングなのです。①と同じタイミングにしないといけないので、THEとしっかり発音するとタイミングがずれてしまいます。ですので、機能語はどんどん短縮していきます。
③The cats are chasing the mice.
この文章は、現在進行形になっていて更に長くなっています。それでも音のタイミングとしては①と同じにならなくてはいけないので、②よりももっと機能語を早く言わなくては音のタイミングがずれてしまいます。
実際に、文章を言ってみましょう。試しに手拍子と共に3拍で以下の文章を言ってみてください。
Cats /chase /mice.
英語文章の中のストレスルールでは、以下の文章も上の文章と同じ3拍で言います。
The cats /chase /the mice.
THE cats is /chasing /the mice.
赤字は強くしっかり読むと同時に二番目、三番目も同じ三拍で収まるように言わなくてはならないとなると、どうしても黒字部分をできるだけ早口で手短に言うことでリズムのタイミングを合わせるようにしなくてはなりません。
同じタイミングで言っているところを下の動画の6分50秒あたりからみることができますので、確認してみてください。
他にも、文章の中で強く読む所として意識しておくと良いものがあります。
①文章の中で強調したい部分。
例:I want my MONEY back.(私のお金を返して欲しい。)
②会話の中で新しい情報や重要な情報
例:Is the meeting TOMORROW?(会議は明日ですか?)
No, It’s on FRIDAY.(金曜日です。)
③比較
例:The cabin crew were WONDERFUL, but the FOOD wasTERRIBLE
(客室乗務員は良かったけど、食事がまずかった。)
④話題が変わり、ストレスが置かれる部分が変わるとき
例:Did you see the new MOVIE?(新しい映画見た?)
Yes, I DID.(見たよ!)
最初に映画について言っています。
当然次の文章でもmovieの部分にストレスをおくと考えますが、次の部分では見たか、見ていないかについて答えています。
そこで見たという”DID”の部分を強調しています。
まとめ
英語は日本語と違って強くしたり、弱く短くすることにより音に強弱をつけて独特のリズムを作ります。
このストレスに関して、強く読む所は”はっきりそしてゆっくり発音すること”単語の中では母音の音をクリアに発音する。英語を話す人に取ってはこのリズムがないと、大変聞き取りづらく理解も難しくなってしまいます。
ですのでこれから英語を話す際、文章や単語にストレスをつけてメリハリよく発音してみてください。相手にとって期待通りの英語の音となって、コミュニケーションもうまくとれるようになります。